彩のイメージ
  詩を書いたり曲を書いたりしてます。
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0.1秒の思い出
幼い頃のことは思い出そうとしても、なかなか思い出せない。
たくさんのいたずらをして、たくさんの冒険をして
たくさん嘘をついて、たくさん泣いた。
いろんなことをして、いろんなものを見たはずなのに
ほんとうに少しのことしか思い出せない。
友達が遊ぼうと言った。
家の裏に広い公園があった。
広い公園には大きなポプラの木が3本あった。
すべり台、鉄棒、ジャングルジム、ブランコ、ベンチ。
木でできた背もたれのないベンチ。
ベンチの上はいつも細かい砂が散らばっている。
はしゃいで子供はクツのまま上がるから。
笑って、走って、夕暮れ、休憩。
石でできたベンチ。
これも砂だらけ。
夏は熱く、冬は冷たい。
葉っぱの色より、季節を感じた。
子供の感覚はおもしろい。
100メートルかそこらの範囲を大冒険する。。
隅から隅まで、知らないことが、楽しみだった。
新しい発見が、喜びだった。
頭の中に、とても細かく、立体的な地図を作っていく。
右、左、前、後ろ。
上、下、斜め、向こうの方。
あの路地を塞いでいる、大きな石。
石の下の小さな虫。
湿った土の匂い。
廃屋に打ちつけられたベニヤ板や、折れ曲がって錆びた釘。
いたずらで割られたガラスの破片。
幽霊が出るとみんなが言った場所は
なんだかほんとにひんやりとした空気が漂っている。
濁った排水溝に迷うことなく手を突っ込んだ。
排水溝の繋がる先を覗き込んだ。
飽きることなく、砂を積み上げた。
バケツに水を入れて持っていくよ。
砂だと崩れる山もお城も、泥にしてしまえば頑丈になる。
どろどろ、ぺたぺた。
爪の間も真っ黒。
お城は渇いて風に吹かれて、さらさら、さらさら。
また、砂になった。
手を洗ったら、おやつ。
おやつ。
なんだろう、これは。
魔法の言葉。
おやつという言葉を聴けば、もーどうでもよくなる。
何がって、おやつ以外のことが(笑)
心、躍りすぎ。
余ったお菓子をビニール袋なんかに詰め込んで
友達の家。
友達に遊ぼうと言った。
友達の家は、独特の匂い。
子供の遊び、本当にくだらない。
大人の何倍も、何倍も何倍も凄い想像力で
遊びが始まって、すぐ終わる。
子供の終わりは、ほんとの終わり。
繋がることなんてなくて、でも、次の日には同じ事をする。

夜。
暗い、怖い、大きな、夜。
一人でジュースを買いに行くとき、怖くて、走った。
なるべく周りを見ないようにして、目標の自動販売機へ。
息を切らして、でも、ジュースを買うときは真剣に選ぶ。
冷たい缶を、お腹に抱えて、次の目標は家のドア。
走って、走って、怖い、空が覆い被さってくる。
夜の空にはものすごくでっかい目玉があって
その目玉大魔王にじーっと見られている気がする。
夜になると、人がいなくなったり、月が追いかけてきたり。
子供ながらに感じる「普通ではないこと」の象徴が、目玉大魔王だったのかもしれない。
身震いするほど怖いけど、いつか満天の星空を眺めて
大きく息を吸い込むその日まで、真っ黒な空に本当は興味津々だった。
すごい勢いでドアを開ければ、優しい、温かい、眠たくなるような空間。

「ただいま」

朝、昼、夜。
感覚で触れた、いろんな空間。
太陽の光。
お風呂場の窓から見えた四角い青空。
子供の頃、空はただの空だった。
白い雲、薄く千切れてゆく雲。
もくもくと盛り上がっている雲。
一面灰色の雨雲、なんだかそわそわしてくる。
雨はただの雨だった。
バシャバシャ、長ぐつ。
長ぐつを履いているのに、くつの中は雨水で満タン。
夕立の時はポプラの下に逃げ込む。
雨が葉っぱに当たってバラバラと音がする。
バラバラバラバラ、雨の粒が線になっていく。
ザーザー、ザーザー。
雨が上がると線は粒に逆戻り。
ぽつりとおでこに、ぽつりとほっぺたに。
通り過ぎていった雨雲、さよなら、バイバイ。
木はただの木だった。
太陽の光は、枝の隙間をすり抜けて地面に突き刺さる。
坂道を照らした光。
公園を渇かしてゆく光。
部屋に入り込んできた光。
カーテンをふんわりまるめて、部屋に入り込んできた風。
家はただの家だった。
金魚の入った水槽。
ガタンガタンと音のなる洗濯機。
物干し竿に、並んで干された洗濯物。
広げれば自分の体ほどもあるバスタオル。
タオルにむーっと顔を押しつけるのは気持ちがいい。
ハチが飛んでいる。
蝶々が飛んでいる。
春、庭に、たんぽぽが咲いている。
黄色くて可愛らしい。
綿毛になって、まだ知らない、遠いところへ飛んでいく。
さよなら、バイバイ、手を振った。
小さな手。
子供の手じゃ掴みきれないほどたくさんの夢。
大きなポプラの葉っぱの数ほど?
公園に散らばったキラキラの、砂の数ほど?
知らないことなら、知らない数ほど。
もっともっとたくさんの夢。
叶わないようなこともたくさんしたい。
何倍も何倍も何倍も、凄い想像力で。


振り向いてはいけない。
視界に広がる大空を眺めながら、スローモーションでいこう。
0.1秒で駆け巡るからこそ美しい、思い出。
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恋と向日葵
40歳を過ぎても恋をしたがる。
私は見た目も若いし、顔もかわいい。
色目を使っては若い子に声をかける。
恋といってもこの子達と歳の変わらない子供もいる。
私にとっては遊びだった。

隣のフラワーショップはよくアルバイトを入れ替える。
なんでもお花屋さんは今若い子がやりたがる職種らしく
店長さん曰く興味本位で入ってくる子が10割だそうだ。
店長さんはとても温厚な人で、私より一回り若い。
「愛がなきゃ」が口癖だ。
花はその姿に人の心を反映させるという。
花屋が花を育てる仕事ではないということも初めて知った。
ただ環境を整え、水をやっていればいいというものでもないらしい。
愛無くして花に接する人を店長は見ていられない、というのが主な原因だが
短い子は1ヶ月続かない。
思ったよりも大変なんだろう。
見ててわかる。
細かな気配りのいる仕事だ。
店長は独創的で芸術性の高い仕事だ~、とアーティスト気取りだけれど。

長い子は4年続けている。
28歳のヒマリ君だ。
名前が向日葵に似ている、という理由のみで雇われた子だが(この頃は店長もバイト選びを投げていた)
この子が一番優しく花に触れるらしい。
そして優しいだけでは花がいい顔を保てないことを彼はその歳で悟っているらしい。
私もよく見かけるが内面の優しさが仕草やファッションからも見て取れる。
話しかけたことも何度かあるけど、ほんとにふわりと会話を交わす、彼が花のようだ。
甘い匂いがするんじゃないか?
私が抱きついたりしたらどんな反応をするだろう。
そっと触れてみようか。
冬、彼に近づいてみようと試みた私は打ちのめされる。
彼の、私の思わせぶりなモーションを避ける時の優雅な身振り。
かすかな期待を一片残して断る、言葉の選び方。
私は諦められなかった。
そう彼が仕向けたのだろう、まんまと彼の渦に巻かれている。
彼の波は、心地が良い。
温く、優しく、刺激的だ。
私は自分が可愛いと思っている。
愛嬌だけでやってこれたと思っている。
モーションはもう感覚的なもの、よほどの自身を持っている。
彼の前で私は子供だった。

先月、新しい子が入った。
アラガキ君という20歳の学生だ。

「店長、おはよう、今日はシナモン入れないんだよね」
「うん、ありがとう、お金帰りに渡すから」
「はーい」

自身満々の笑顔。
横目で奥を覗けば新人もこっちを見ている。
毎日コーヒーを持ってくる私に頭を下げるようになった。
私はニコリと微笑んでお腹の黒雲を呼び寄せる。
黒雲からひょっこりと顔を出した悪魔。
「アラガキ利用すればいいじゃん、外堀から崩さなきゃなー」
私の中に、それに反論する善の象徴はいない。
「見なよ、アラガキの顔、お近づきになりた~い顔だろ、あれは、バカじゃん」
「午後に、差し入れーとか言って無駄に濃いエスプレッソでも出しな、大人の女性だ~とか思われるだろ」
「待ち伏せは最後、そこまでやる必要ないだろ、外堀ごときに」
「若さ=バカさ、あはは」
次から次へと囁きかける、私の中は真っ黒か?

センスの無いバイクで、迷惑な自己主張。
死ね、うぜー、やべー、が口癖。
お花屋さんやれば女の子にモテるのか?
外堀は予想以上に質が悪かった。
人手不足だったとはいえ、店長もえらいのを雇ったもんだ。
店長の前ではいい子ぶってるんだろうか。
私の前ではいきがっているんだろうか。
まぁ、仕方ない、ヒマリ君に触れる為だ。
「アラガキ君、背高いね~」
「アラガキ君、こないだお花選んでくれてありがとね」
「アラガキ君、帰りにちょっとお店寄ってくれる?」
ちょっとずつ時間をかけて引き寄せる。
たまにぐっと勢いよく引き寄せる。
釣りかよ。
獲物は単純なほどに釣られている。
実際、外堀からヒマリ君の話を聞きだせるようになった。
「ねぇねぇ、ヒマリ君ってどんな人?」
アラガキの話し方は他人のことをあまり良く言わず
自分を良く見せるずるい話し方だった。
イライラしながらも笑顔で応え、ヒマリ君のことを知っていく。
アラガキに慣れてきた私は、自然にアラガキの肩に触れたりする。
おいおい、それで含んでるつもりか?
こぼれ出てるぞ、ニヤニヤ笑いが。
こーゆー男だ、私と仲がいいと話しているに違いない。
ここまですれば話さなくとも周囲は気づく。

私の描くシナリオはこうだ。
私は打ちのめされて以来、ヒマリ君には淡白に接している。
もう少し歩み寄っていれば普通に話せたのかもしれない、という罪悪感らしきものを感じさせる。
そのもう少しの距離を縮めさえすれば私の間合いになるかもしれない。
あわよくば、嫉妬させる。
言ってはいけない言葉、隠して持っている感情、淡い期待。
彼はその辺をきっちりと施錠して閉じ込めている。
嫉妬はそれをするりと引き出す潤滑油だ。
彼が私のことを考えるその一瞬に、気づきさえすればいい。
ヒマリ君に再びのモーション、アラガキをここにきて引き離す。
露わになる安い男の嫉妬の矛先はもちろんヒマリ君。
アラガキの口から私の一部がちょっとずつヒマリ君に伝わってゆく。

私の予想、二人の会話。
ヒマリ君 「あの人と仲いいんだねー」
アラガキ 「え?そうっスか?(笑)」
ヒマリ君 「よく二人で話してるの見かけるよ?」
アラガキ 「別に仲良くはないっスよ、話しかけてくるだけですよ~」
とかなんとか、ヒマリ君も微妙に私のことを意識してるはず。
これは勘でわかる。
ああいうコは、意識しないでいろんなところにアンテナを伸ばしているタイプだ。
アラガキはアラガキなりに調子に乗っているはず。
これは勘じゃなくてもわかる。
あれは内側で下半身のアンテナを伸ばしているタイプだ。
私は私で思わせぶりな行動の結果、ヒマリ君が接近してきたところで動揺せず
私はそうでもなかったよ?といった感じで、クールに装う。
装いながらも近づいたその距離を常に保って、内側ではハンターの目つき。

3日前、事件が起きた。
近所のスーパーで可愛らしい模様のエコバッグを肩にかけて
野菜をじーっと見つめるヒマリ君を発見。
その横にぴたりとくっついて小柄な女の子。
ヤバイ、彼女か?
これは相当なダメージだ。
私がとってきた態度を思えば、こんなところで声をかけるわけにもいかない。
逆効果だ。
得意の技術的な攻撃も、手を出せなければ意味がない。
いや、挨拶をして彼女かどうか確認するくらいはできるか?
いやいや、野菜だし、今日のおかず的なノリだ。
そしてあの自然なくっつき方。
ムカツク。
私は私が不利な立場になるのが大嫌いだ。
私が回転の軸になってないとイヤだ。
このまま見過ごすのはやりきれないけど、仕方ない。
今晩、悶々として対策を練るのだ!
見てろ、ヒマリ。

↑これが3日前の私。
他の誰のことも頭の中にはなかった。
ひとつの恋に没頭すると、結局周りが見えなくなってしまう。
最終的には彼と私だった。
盛り上がってきたな、気持ち。
興奮して、落ち着いて、ふわふわする。
ああ、快感。
最後の選択は総合的に見て私自身がプライドを捨てられるかどうか、だった。
フラれるなんてありえない。
でも明らかに距離は遠い。
なんでこんなに焦ってるかって?
スーパーの次の日、店長に聞いた。
彼は隣町に出て自分の店をオープンさせるそうだ。
今、この状態で離れていってしまうなんて・・・。
足が震えて何も言えなかった私は、そこでやっと気持ちの大きさに気づいた。
大きな変化というか、急展開に怯えた。
子供のように駄々をこねそうになるのを堪えて、夜。
堪えることが、良くないんじゃないだろうか、と考える。
でも、その器用さでここまでやってきた。
上手な身のこなしと、私の可愛い顔の後ろに、流れはついてきた。
この状況、この今の展開では、それが通用しないことのように思える。
すべてが、自信に繋がって、余裕に変化して、崩せないプライドになってしまっている。
このプライドを、恐れに耐えて脱ぎ捨てて、私が私自身でいられるのだろうか。
相手は子供だ。
なんでこんなに熱くなっているんだろう。
ドキドキドキドキ。
ワインを飲んでも酔えないよ、何なんだ、私は。

↑これが昨日の私。
一晩寝れば冷静になるかと思ったけれどダメだった。
目覚めたらまず彼のことが浮かんだもの。
夜の続きだった。
というよりは、出会ってからずっと続いてきた恋か。
・・・・・・・。
あれ?
遊びのはずだったのにな。
お腹の悪魔も囁かない。
大事な時に頼りにならないやつだ。
私はもう、どうしていいのかわからなくなってしまった。

今日。
昼。
夏だった。
向日葵の花束は店長にもらったのかな。
私の店に挨拶に来たヒマリ君。
顔を合わせるのが怖くて、今日はコーヒーを持って行かなかった私。
ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ・・・・。
シャララ~ンと音が響いて、扉が開く。
泣きそう。
足が私の体を前へ進める。
ダメだ、ダメだ、ダメだ・・・・。
進むな、体。
近づいたら、壊れてしまうかもしれない。
向日葵の爽やかな香りが漂ってくる。
優しい笑顔だった、彼。

「お世話になりました、隣町で店やることになったんです」

知ってるよ、知ってる。
君のことはホントは全部知りたい。
何やってたんだ、私。
何やってたのか、思い出せない・・・。

「いつもコーヒーありがとうございました」

会いたかったんだもん。
毎日、毎日。
何で、遠くに行っちゃうの?
これからだって、毎日、毎日、会いたいのに。
これからだって、コーヒーを・・・・

「またこっちに来たときは寄りますから・・・」
「ヒマリ君・・・!」
「え?」
「あの・・・私・・・わたし・・・・」


秋。
まー、あの時の私は確かに私じゃなかった。
いや、あれが本当の私だったのかな。
新しい、私。
震えながら、怯えながら、プライドを脱ぎ捨てて、深呼吸。
一緒になりたいって、真面目に告白。
驚いて、ほんとに驚いた顔をして、でも、ちゃんと、静かに、優しく、断った、彼。
周りの目も気にせず、その場に崩れ落ちて、わんわん泣いた、私。
いつだって彼は優しかったから、いつだって私は素直になれたはずだった。
なんだよ、こんなの、もう、何も、考えられないじゃんか・・・。
今の私を形作っていた殻がポロポロと剥がれ落ちて、涙がこぼれる間、ずっと傍にいてくれた。
いいかげん泣き疲れて、ため息のあと、ふっと笑った私に、向日葵を一本差し出して
またね、って。
彼が店を出てから10分後、やっと冷静になった私。
一緒になりたいってのは、下手くそだったなー。

長く勤めたカフェを辞めて、お隣の花屋で働くことに快く応じてくれたオーナー。
まぁ、いいっすよ、と受け入れてくれた店長。
アラガキやお店のスタッフさんに軽く頭を下げて、笑顔。
私は、この花達と同じように愛されるだけでよかった。
ただそれだけでよかったのにな。
向日葵の季節は過ぎて去ってしまったけれど、色とりどりの花。
私はここから始めよう。
私に足りなかったのは、たぶん愛だ。
深呼吸をすれば、爽やかな香りが体内を循環する。
心の敏感な部分に、たまに触れるから、気持ちがいい。
少しでも彼に近づく為、私は、ここからだ。
Go Go Sensation
夏なら そよ風
フェードイン 朝 ボッサ
しなやかに伸びゆく歌声
会いたい人がいる

スーハー 息 吐き
耳 聴き逃さないように

冬なら キャンドル
フェードアウト 夜 ジャズ
飲み残し フレーバコーヒー
会いたい人がいる

スーハー 息 吸って
瞳 君の姿を
触れ 線 描く 想像

ゴーゴー センセーション
スーハー スーハー

体 痺れるほどに 高
体 千切れるほどに 低
浮き 跳ね これ何の感じ?
震える これ何の感じ?
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まとめ
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