彩のイメージ
  詩を書いたり曲を書いたりしてます。
201707<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201709
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
跳ぶ人、その先の足場。
うーむ・・・・・・・。
4mくらいか?
いや4mもないか?
その薄いペラペラの足場が、跳んで届くかしらというところでぼーっと浮かび上がっている。
俺の乗っている足場も大きさにして2m四方くらいだろう。
まさかと思い裏側を覗き込んでみると、俺の乗っているこれも1cmも無い薄いペラペラだったのだ。
真っ暗闇、俺の目に見えている足場以外はただの真っ暗闇だった。
足場を踏み外せばどこまで落ちるのかもわからない。
目を覚ましたはずなのに夢かどうかを確認しなきゃいけないようなこの不思議な空間で俺は腕組みをした。
上は、真っ暗。
下も、真っ暗。
視界に入るのは、目の前に浮かぶペラペラだけ。
その先は何も見えない。
振り返っても、真っ暗。
タバコを二本吸っても状況は変わらないので、覚悟しました、ジャンプの。
助走無しで届くかー?マジで。
まず、今いる足場でトントントンと跳ねてみる。
ペラペラのくせにしっかりしている。
飛んだ先のペラペラが紙みたいに柔らかかったら絶望するよ?
呼吸を整え、目を閉じ、肩の力を抜き、目を開く。
跳び立った瞬間、客観的な視点に切り替わり、湾曲する自分の体とそのスローモーションを見た。
つま先は届かず膝で着地、ペラペラの向こう側を手で掴む形で俺は次の足場へと移動した。
乗った瞬間に荒くなる呼吸。
やべー、心臓やべー。
こっちのペラペラ小さいし!さっきの半分くらいしかないし!同じにしといてよ!
振り返るとさっきのペラペラは消えてなくなっている。
あれ?と、キョロキョロ周りを見渡して俺は息を呑んだ。
「次の足場」だ。
向こう1m、そして今度は3m程下にあった。
これは難しいだろー、と思わず声に出して俺は、次の覚悟をしなければならない。

もう何度跳んだだろう。
ひとつ跳べば、乗っていた足場は消え、次の足場が現われる。
次へ飛び移れば、またその次が現われ、前のは消える。
覚悟は次第に跳ばなければならないという宿命に変わる。
宿命を受け入れれば、何のことはない。
未来にも、過去にも、何も見ない。
俺は今、跳ぶことだけだった。
筋肉は疲労し始め、容はいかに美しく、業はどんどんと磨かれていった。
30を跳んだ頃から俺はあることに気がついた。
「跳ぶ」ということについてのみ、ずっと考えていたのだった。
1を跳ぶ頃に考えていた、不安や絶望、希望、困惑。
それらは何だか遠くの方へ置き去りになっていて、リアルに思い出すことはできなくなっていた。
助走をつけず、いかに自分の体重を外へ逃がし、一番気持ちよく跳べるポイントで跳ぶか。
斜め何度から下の場合、ペラペラの先につま先を引っ掛けた方がいいとか
距離にして何メートル以上の場合、届くわずかのところで腕の遠心力を使うといいとか。
機能的に何の役にも立たず、ただの足枷でしかなかった靴を捨てたのはかなりの数を跳んだ後だった。
振り返ったときの不安な気持ちは、飛距離を縮めるというところまで、俺は知っていく。
不思議だ。
俺は今、何者だ。

疲れた、ほんとうに疲れた。
200を跳んだ頃、俺は一度諦めかけた。
時間がわからない。
腹が減る。
会話をせず。
そしてこの暗闇。
一度諦めかけたのは、あまりにも距離が遠かったからだ。
8mはあっただろう、アスリートでもなきゃ跳べない距離だ。
幸い平行線上ではなく、4~5mほど下にあった。
これを見たときはさすがに絶望的だった。
尻をついて闇を見上げる。
これ誰かに見られてんじゃないの?
俺のこの絶望する表情を野鳥でも見るようにウォッチングしてんじゃないの?
・・・・・・・ふー。
泣きそうだったけど、泣かなかった。
座り込んでも仕方がない。
立ち上がってシャツを脱ぎ捨てた。
やはり覚悟が俺を前へ前へ押し進める。
手足を解して「次」を見据えた。

足場は何だかもう変なことになっている。
絶望の8mを跳んだ次の足場は直径10mほどの六角形だった。
六角形に着地すると各角の先から手の届く距離に様々な形の足場が現われる。
台形、十二角形、∞(←こんな形)、長方形を90度に折り曲げたイスのような形。
え?選んで跳ぶの?どれでもいいの?どれかがハズレとかじゃないよね?
∞(←これ)に飛び移って俺はそのクッションのような感触に腰を抜かしそうになった。
そして飛び移っても現われたすべての足場が消えない。
次に現われたのはその倍の数の足場。
ななななな、なんだ?なにが起こりましたか?あわわ、あわわわわ。
落ち着け、落ち着け、あ、俺タバコ捨てたんだ、んーと、深呼吸、深呼吸。
体から心からなるべく無駄なものを削いできた俺だもの。
変化が大きすぎて対応できなくなっていた。
足場と足場を繋ぐ螺旋階段。
巨大足場と巨大足場を繋ぐ長い渡り廊下。
ずっとやりたかったこと、走ること。
闇の隙間を埋めるように、足場はどんどん広がっていく。
裸足が驚く、この感触は石か?ゴツゴツする。
まてまて、このふかふかは何だ、絨毯か?
これは~、つるつる、ぺたぺた。
大理石?!
おおおおお俺上半身裸だけど大丈夫デスカ?
俺は、思わず満面の笑みだった。
うわー、疲れも吹き飛ぶなぁ、つーかこの顔までウォッチングされてたら恥ずかしいよなぁ。
変化が、楽しい、美しい、怖い、大きい、そして、明るい。

俺は跳ばなくてよくなっていた。
今ではこの広大な足場を歩き続けて探検。
様々な形。
建物のような形。
柱の形、壁の形、扉の形。
その先の形。
次の形に繋がっていく。
形は今もどんどん広がっているだろうか。
なにを創り上げているだろうか。
気がつけば俺はもう、闇に落ちることができない。
跳ぶことしかしなかったあの時なら、闇を選ぶこともできた。
あれは自由だった?
・・・・・まぁ、どーでもいい。
叫ぶ力も残ってないし、やがて笑みも消えるだろう。
目を閉じれば、どうせ、闇だ。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
je-pu-pu 無料カウンタ 
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.
まとめ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。